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鹿児島県立公文書館を①~歴史的公文書~

 鹿児島県には県立公文書館がなく、明治維新150年のときに、県立公文書館を設置するいいタイミングであったのですが、パレード・イベントなどの一過性の事業に予算が使われてしまいました。その時期にあった歴史のシンポジウムでも他県の先生から「公文書館を作ってはどうか」とシンポジウムの公開の場で何度も苦言を呈されても、未だそのままです。

 一方の鹿児島市は、歴史的公文書についてアクセスしやすい仕組みをつくり、鹿児島県よりも取り組みが進んでいます。鹿児島県は平成25年8月に国立公文書館のとりまとめにて公文書館等未設置県における検討状況等という資料を製作しています。shiryou3-65.pdf (archives.go.jp)「当県においては,①戦前の公文書の大部分が戦火等により焼失して現存していないこと,②戦後の歴史的公文書に該当すると思われる文書のほとんどが県庁地下の文書庫に永久保存されていること,③歴史的公文書の選定基準を設けていないことなどから,公文書館の設置について,まずは歴史的公文書の選定基準の検討や現存している保存文書の把握を含め,各県の対応状況を踏まえながら検討を行いたい」

 1について調べてみました。
①明治期(明治28年~44年)8冊・・・退職者履歴・合併・家畜伝染病発生台帳等
②大正期(大正元年~15年)15冊・・・退職者履歴・肥料取締法通達・家畜伝染病発生台帳等
③昭和期(昭和元年~19年)114冊・・・退職者履歴・身分進退・労金許認可等

と、確かに鹿児島県庁行政棟で保管している書類は少ないです。しかし、鹿児島県立図書館の検索をかけてみます。
出版者に「鹿児島県」出版年に1868~1945年で検索すると、1000冊もの本が表示されます。戦前の鹿児島県庁が作成した書類・出版物、名称が鹿児島県から始まる鹿児島県の外郭団体のような団体が制作した出版物などです。いわば公文書、公文書に近いものになります。これらが県立図書館に所蔵されているのはあまり知られておらず、敢えて検索した人のみが知っていることです。これからの研究のネタが満載です。
鹿児島県立公文書館を①~歴史的公文書~_b0039825_21393891.jpg
 県学事法制課の保存文書が「137冊」、県立図書館の所蔵本が「約1000冊」、これだけの公文書があれば、まず公文書にアクセスしやすい環境づくり進めるのが「公文書館への第一歩」になるのではないでしょうか。


by fujisakitakeshi | 2021-02-14 22:10 | 薩摩の歴史のこと